3.10.2012

シアトル Co-working space巡り


HubSeattle でのリサーチの関係もあって、今日はシアトルのコワーキングスペース巡りをしてきました。


あんまり自分の意見を挟みすぎずに感じたこと、聞いてきたことを素直に文字に起こそうかなと思います。


シアトルは最近新たなコワーキングスペースやインキュベーションセンターがオープンしたりして、もともと盛んなスタータップやアントレプレナーシップの勢いが加速していっている感じです。



まず訪ねたのは何かと話を聞くことが多いOffice Nomad

Capitol hillのメインストリートから少し外れたところにあるのですが、一回気がつかずに素通りしてしまった程目立たない建物。 ひっそりと佇んでいる隠れ家的な印象でした。





コワーキングスペースは入った瞬間に違いがはっきりとわかります。
Hubもそうですが、素敵なコミュニティビルディングが現在進行していて、何か面白いわくわくがぽんぽんアウトプットされていくような空間はそういったカルチャーがにじみ出ていて、

あ、なんかここいい

というのを入った瞬間に感じます。



Office Nomadは今回巡った4つのコワーキングスペースの中で唯一、

少しHUBっぽいと感じた空間でした。



入ると広々としたスペースにデスクはもちろんソファーやアート、植物などが散りばめられていてなんだかゆったりとした感じ。


そして何よりアポも何も取らずに行ったのに、素敵な笑顔で暖かくwelcomeしてくれるスタッフ(と犬)がすごく優しい雰囲気を醸し出していました。




広さは5000sqf (450㎡くらいかな)とわりと広く、メンバーは現在104人。

Fixed deskをもつresidentはそのうち34人であとは日数制のメンバーとのこと。

多くのコワーキングスペースがhourlyのメンバープランを提供する中で

dailyのプランを提供するOffice Nomad


“a few hour co-working does not make any difference, does it?  If need a place for just a few hour work, you can just swing by cafes around. To generate interaction among members, I thought daily plan was better.”
(数時間コワーキングしたってあんまり何もかわんないでしょ?それならその辺のカフェに行ったって仕事はできる。メンバー同士のインターラクションの為には日数制がいいかなって思ったんだ。

と語るのはCo-founderJacobさん。







本当にhospitalityのあふれる素敵なホストで、突然の訪問にも関わらず気さくにいろいろなお話をして下さいました。





それまでエンジニアとして10年程働いていたJacobさんは2007年にco-founderSusanOffice Nomadをオープン。

その後メンバーは徐々に拡大し、何度か拡大して第二店舗をだすという話も浮上したよう。でもJacobさんはそれは自分のやりたいことではないと断りました。話をしていて、この人は本当にこの空間が好きなんだなというのが言わずとも溢れ出ていました。


“Why did I start this co-working space? Well…I don’t know. The idea just came up and I though that’s what I wanna do. ”
(このコワーキングをはじめた理由?んー、なんかふとアイデアが浮かんで、こうゆうことやりたいって思ったんだ。)





Jacobさんはメンバー同士のコラボレーションには常にLight toughでありたいとおっしゃっていました。

“Interaction or collaboration is not something like what is forced to do by others. All what I do is just enjoy talking with members, spread in this community a little bit who they are as a person or what they are passionate about, and then just see what ‘s happening.”
(コラボレーションとかって別に人からやってって言われてやるものじゃない。僕らの仕事はただメンバーと楽しく話して、どんな人なのか。何をやってるのかってのをコミュニティ内でちょこっと広めて、あとはただ何が起こるか見てるだけなんだ。)


“Intention makes a huge difference among members even though collaboration is not something intended. People coming here know that here are variety of people and interactions with other members, including just a small talk at the kitchen, give them some inspiration for creation. They definitely expect it.”  
(コラボレーションは意図的におきるものでもないけど、でもメンバーが何を考えてここに来るかっていうのは大事なこと。みんなここに来る人の多様なメンバーとのちょっとした会話が引き起こすcreationの可能性を知ってるし、それを期待して来るんだ。)




メンバーのスクリーニングは特にやっていないようだ。
新規のメンバーは正式にメンバーになる前に一日お試しができる。

We haven’t really chosen our member from the beginning. It’s not me but them who chose this space as their most confortable work place. People who like the atmosphere here gather around this space and they are what we want. What is important as a host is being as authentic as possible.
(スクリーニングみたいなことは始めからしてないよ。ここを選ぶのは僕じゃなくて彼らだしね。Office Nomadの雰囲気が好きな人たちが集まってきて、僕らもこの雰囲気を共有できる人を求めてる。ホストとして大事なことは素直であり続けることかな。)

どうやらJacobさん最初の二年間はコワーキングスペースとして自分たちがどんなバリューを提供しているのか自分でも答えは出せていなかったようだ。「じゃあ今はどうですか?」と聞くと「そうだねー」と微笑みながら、どこかこの四年間を懐かしむようなトーンで言葉を紡いでくれた。


I still don’t know…but what we are doing is enrich their lifestyle. Offer space filled with surprise that each of members generates and they can get inspiration by exchanging various kind of stand points, rather than staying at home all day and stuck to his/her own idea. It’s what we call a collaborative life style.
(正直今でもまだわかんない。でも僕たちがやってることって人々のライフサイクルを豊かにすることなんだ。家にいて自分のアイデアに固執しっぱなしになるんじゃなくて、わくわくの溢れたオフィスで多様な意見にもまれながらインスピレーションを得る毎日。Collaborative Lifestyleって言うのかな。)

キッチンにはホワイトボードがあってみんな勝手に今週の目標を書く。”みんなが何やってるか知れて楽しいし、会話のきっかけにもなる” とメンバーのVeena。



僕が東京で Co-working spaceの設立に関わっていることを話すと是非東京に行った時に連れてってほしい、co-workingの魅力が多くの人に伝わっているのは嬉しいと、そしてoverthinkingしない方がいいよ。Just talk a lot with people who are gathering around the space and feel what they feel. とアドバイスもいただきました。


そしてスペース内を回っている途中にキッチンでインド人のVeenaと出会い(さすが。みんなとてもフランクでソーシャル。)、office Nomadを利用する理由やコワーキングの魅力について話してもらいました。





彼女はインド料理を世界の人がもっと簡単に作れるように、onlineでキットを提供するサービスを行っています。詳しくはこちら。http://veenasmarket.com/


以前はずっと家で仕事をしていましたが、二年程前から月10日間くらいはoffice Nomadで仕事をするようになったそうです。

“I set on different seats every time I come here. People here have totally different backgrounds and are very interesting Talking with them just inspire me and help me to be more creative. ”
(毎回違う席で仕事をすると、いろんなバックグラウンドを持った人と話ができて、それがすっごい刺激的なの。Creativeな環境で仕事ができていると思う。)

ある日隣に座っていた人がフィルムを撮る人で、Veenaさんのビジネスを気に入ってくれて、プロモーションビデオの撮影を一緒に行ったりもしたそう。

また自分一人で働いているVeenaさんにとってメンバー同士でご飯を食べにいったり、お酒を飲みにいったりといった他の人との関わりが常に生活のなかでもてることは、すごい大切で嬉しい事だ、とおっしゃっていました。やはりコミュニティなんですよね。

なによりも話をしてくれたVeenaさんの顔が輝いていて、なんだかこっちまで元気をもらいました。




さて、まだ一つ目だというのに随分長くなってしまったので

残りは簡単に紹介だけ。

Matrix Create Space





ここはかなりモノづくりにフォーカスしたco-working space.
工具がたくさん散らばっていて、なんだかラボって感じでした。

誰かがプロジェクトを持ってきて何かをつくっていると、他の人が面白そうって集まってきて、あーだこーだいいながらお互いのストロングポイントを活かして協力してやる、っていうのがいつものパターンらしい。自分のやってることをそていのけで、他人のプロジェクトにジャンプインしちゃう人もわりと多いらしいです。噂の3Dプリンターとかに取り組んだりもしているとのこと。


なぜかレゴが散乱している一角が。



Agnes Underground

ここは最近できたばっかりの新しいCo-working spaceでビルの地下ワンフロアー丸々利用した面積的にはかなり広いスペースです。リラックスした雰囲気で机をシェアしていくスペースと、わりと区画のはっきりした会社のオッフィススペース的な空間と両方あり、メンバーの層はだいぶ広めな雰囲気を受けました。

StartPad
ここは主にソフトウェア開発のためのco-working space

みんな基本的におしゃべりしながらずっとカタカタパソコンならしていました。でもあんまりメンバー同士のインタラクションみたいなものはなさそうで、メンバーの何人かになんでこのco-working space を使っているのかと聞いたところほとんどの人はリースに比べて安いし、自分のスタートアップが長期的にどうなるかわからないから、というような理由でした。
集まってくる、メンバーの動機もコワーキングスペースによって全然違いますね。



 

あとまぁ小さなところを他にもいくつか回りましたが、メインはこの四つでした。


まとめ

コワーキングスペースと一言で言っても、目指す空間の色は全然違うし、集まってくる人の感じ、空間全体がもつ雰囲気も180度変わってきます。静かに集中したい人が集まって、あまり物音立てられないようなとこもあれば、メンバー同士が真剣にでもラフな感じであーでもないこーでもないってがやがや言い合ってるスペースもありました。


コワーキングのもつバリューも何かこれってものがあるんじゃなくて、
Stardpadみたいにオフィスをシェアすると安いし便利だからっていうところもあれば、
Matrix Create Space みたいに実際にモノづくりをできる、プロトをどんどん作っていける、それを一緒にできる仲間のいる環境が持ち味のコワーキングスペースもある。
そしてOffice Nomadsのように様々なバックグラウンドを持つ人達に囲まれながら仕事をできることが魅力で人々が集まってくるスペースもある。


最初にも書きましたが、今回訪ねた四つのコワーキングスペースのうちHUBと空気感が多少似ているのはやはりOffice Nomadsでした。
ただsocial businessにフォーカスしているHUBと比べると、集まってくる人々は他のメンバーとのコラボレーション(一応こう呼ぶ事にしますが。)に魅力は感じていますが、その空間から放出するアウトプットの社会的意義に関してはあまり関心がないような気がしました。


そう考えると僕が出会ってきたHUBの人達は

なんかこうもうちょっとこうしたらこの世界少しよくなるんじゃないの

みたいな活動をしている人が多く、そしてそういったチェンジメーカー達の集う空間でナレッジやアイデアをシェアすることの価値とそれが生み出す社会インパクトの可能性を信じている人達。そういったイノベーター達のnexus point(ネクサスポイント)というところにHUBのバリューがある気がしました。


結局人なんだと思います。そこにどんな人がいるかってことが人がコミュニティに集まる最大のモチベーションだし、わくわくするところ。


あと


空間のデザインってすごく奥が深そう


って思いました。




僕がシアトルに留学しているこの一年の間に随分と東京にもコワーキングスペースができたみたいです。

帰国後に是非まわってみたいと思います。お気に入りのスペースあったら教えて下さい。



シアトルも残すところあと一週間程となりました。

サンフランシスコで二週間程Exploring Social Innovationというプログラムに参加して、

その後日本に帰ります。(その前にもしかしたらHUBのグローバルカンファレンスにでれるかもしれませんがまだちょっと未定)

それでは。

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